散骨

「俺が死んだら、骨はその辺に撒いといてくれればいいから…。」実は中高年の方がよく言うセリフです。あなたならどう考えますか?お墓という形式を全くとらないお骨の行き場としては最も認知度が高く、ポピュラーな選択肢です。ここでは散骨の成り立ちや実施の方法、気を付ける事などを見ていきましょう。

散骨とは

細かく砕いた遺骨を、山海に撒き、最終的には自然と融合していく葬送(自然葬)の方法の一つです。 全てのお骨を散骨することも出来ますし、一部だけを散骨する方もいます。

散骨の始まり

現代における散骨が始まったのは1990年の事です。その草分けとなったのが「葬送の自由をすすめる会」。その名の通り、「葬送の自由」を社会にひろめる事を目的として、安田睦彦会長を中心に1991年に結成された団体です。現在も積極的に活動を行っており、現在の会長は0葬を提唱している宗教学者の島田裕巳氏です。

元々山梨県の環境問題に取り組む中で、自然を破壊しない葬送としての陸上散骨を進めようと思っていた安田氏は、研究の結果、散骨が法的には問題ないことを確信し(このページ下部参照)、この葬法としての散骨への想いと主張をまとめて、1990年9月24日の『朝日新聞』の「論壇」に「『遺灰を海や山に』は違法か ― 規制なく先入観で葬送の自由を失う」を投書します。そして、その投書の反響の多さに励まされた安田氏は1991年2月、「葬送の自由をすすめる会」を立ち上げます。

そして「葬送の自由をすすめる会」は、1991年10月5日に初めて、相模灘で散骨を行いました。 以来、2014年の時点での散骨実施数は1900回、3300人の散骨を行っています(別冊宝島「新しい葬儀の本」2015)。

私たちが「葬送の自由をすすめる会」を結成した目的は、自然の理にかない、しかも環境を破壊しない葬法 (このような葬法を「自然葬」と呼びたいと思います) が自由に行われるための社会的合意の形成と実践をめ ざ すことにあります。

「葬送の自由をすすめる会」は結成の趣旨

散骨は合法か

散骨を真剣に散骨を検討される方にとっては気になるところですよね。まず、散骨ににかかわる、問題となりえる法律は以下の2つです。

  • 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない。(「墓地、埋葬等に関する法律」(以下、墓埋法と略す) の第4条1項)
  • 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。 (刑法190条)

墓埋法に関しては、散骨は埋蔵ではないので、埋蔵(お骨を埋める事)の方法を規定した墓埋法に抵触するということは考えられていました。しかし、刑法に関しては、、散骨のために骨を粉状に砕く行為が損壊に、 そして散骨自体が遺棄にあたるのではないかとの懸念があったわけです。

しかし、「葬送の自由をすすめる会」の安田氏が朝日新聞に投稿し、大きな反響を得た翌月(1990年10月16日)、朝日新聞はこの点に関し関係省庁の見解を掲載しました。

  • 墓埋法に関して:「墓埋法は散骨のような葬送の方法については想定しておらず、法の対象外で禁じているわけではない」(厚生省生活衛生局)
  • 刑法に関して:「刑法190条の規定は社会的習俗としての宗教的感情などを保護するのが目的だから、葬送のための祭祀(さいし) で節度をもって行われる限り問題ない」(法務省)

これにより、散骨は刑法に抵触しない(違法ではない)だろうという事が明らかになり、現在でも、散骨の実施に関しての共通認識となっています。本来なら「こう散骨すれば大丈夫」という条件が出て初めて安心して散骨を行うことが出来るわけですが、そこまでは至っておらず、そのあたりに散骨がグレーゾーンと言われる理由があるわけです。

求められる国の指針

上記のように散骨は「違法ではない」という消極的結論であるというところから、実際の散骨においては、逆に積極的に「ここなら安心して散骨が出来る」という場所がはっきりしないという問題が起こってきます。法務省の言う「節度をもって行われる限り」というのが何を指すのかはっきりせず、多くの部分が「節度」や「マナー」というあいまいな自主規制に任されていると言えます。
実際、特に陸地での散骨に関しては、住民などとのトラブルになる例もあり、今までにいくつかの自治体で、条例が制定されるなどの「対処療法」で規制が行われているのが現状です。現在の関係各グループのスタンスは以下のようになっており、本格的議論が必要とされています。
(自治体での規制に関しては、下記「散骨と自治体の規制」を参照してください。)

  • 厚生省:「98年には所管する厚生省(当時)の懇談会が「トラブルが生じないよう法制度として基準を設けることが望ましい」と報告書をまとめたが、法制化の動きはなく、厚生労働省は「具体的事案の判断は許認可権者(自治体)の裁量」との立場(2009年6月30日 朝日新聞)」
  • 散骨推進派:安心して散骨の出来る場所や方法を確立したい。自治体レベルでの散骨規制が広がることを懸念している。
  • 自治体:国レベルでの規制がないので、地域ごとに問題が持ち上がった時に法整備をする。自治体の条例レベルでの対応には限界がある。法でルール作りをしてほしい。

散骨「国が統一ルールを」 推進・反対両派から要望

遺灰を海や山にまく散骨が広がって参入業者が増え、トラブルになる例が目立っている。散骨は現行法が想定していない弔い。これまでは問題が起きるたび現場レベルで「対症療法」が取られ、規制条例を設ける自治体も増えてきた。こうした中、統一ルールの法制化を求める声が、推進派・反対派双方から上がり始めた

2009年6月30日 朝日新聞  

散骨の広まり

散骨の認知と希望者の増加

当初「非常に特殊な人々が行う葬送」と思われた散骨はこの20数年で、大きく認知されてきており、現在では「散骨」の認知度は8割以上と言われています。認知度の高まりと共に、「自分の遺骨は散骨にしてほしい」という人々の割合も増えて来ています。
過去の調査統計による、散骨希望者の割合

  • 1990年:9%「墓地に関する世論調査」(総理府)
  • 1994年:13%「全国世論調査」(読売新聞)
  • 1998年:15%「全国世論調査」(読売新聞)
  • 2001年:25.4%「葬儀にかかわる費用等調査報告書」(東京都生活文化局)

そして、2010年には第一生命経済研究所の小谷みどりさんが行った調査『お墓のゆくえ-継承問題と新しいお墓のあり方-』では、今日の現代人の散骨に対する意識を様々な角度から分析しています。

これによると、「自分は遺骨を全部撒いてもらいたい」、「自分は遺骨を一部だけ撒いてもらいたい」を合わせると、散骨をしたい人は28.8%になりました。また、これを年代別に分けたデータを見ると、この「散骨をしてもらいたい」グループは65歳以下では30%を超えています。

散骨についての考え調査結果

実際の実施数ははっきりしない

上記の割合は「自分が死んだら、自分の遺骨は散骨してほしい」人の割合であって、実際行っている人の割合ではありません。
現在のところ、散骨の実施数に関する信頼できる統計は発表されていません。散骨の先駆けである「葬送の自由をすすめる会」のは2006年8月現在で、北海道から沖縄まで、海や山などで1137回の自然葬を行い、1945人を自然に還しています。そのうち、1998年以降、毎年100回、200人程度である事が分かっている((『生活と環境』(2007年3月号)財団法人日本環境衛生センター)ほか、大手散骨業者の年間実施数が100から200回程度である事が分かっている程度です。

2013年、日本で初めての海洋散骨の業界団体「日本海洋散骨教協会」が生まれましたが、協会員による散骨実施数は公開されていません。

散骨を希望する理由

「自分は散骨をしてもらいたい」という人が散骨を希望する理由は様々ですが、下記のようなものが挙げられると思います。このうち「自然に還りたい」という理由は複数選択では非常に多く選択されており、自然回帰傾向が非常に強いことがうかがわれます。

  • 自然に帰れるから
  • お墓を作るのは高額だから
  • お墓に意味を感じない
  • 本人が希望していたから
  • お墓を承継する人がいないから、いなくなるから
  • お墓に関して親戚との関係が煩わしいから
  • お墓の中に入っている人とそりが合わなかったから
  • 暗くて狭いお墓には入りたくない
  • 想い出の土地に眠りたい。

散骨は方法か、ロマンチシズムか

ハワイでの散骨

ハワイでの散骨

上記の理由にはいくつかの現実的な、そしてロマンチックな想いが混在していると思います。
「跡継ぎがいない」、「お墓詣りで迷惑をかけたくない」、「お墓が高額」という人たちにとっては、散骨は問題解決の方法です。「お墓を作らない」という選択があり、その方法として散骨があるのです。特に海に思い入れが無いのにもかかわらず、海洋散骨を選択する人も多くいます。先の第一生命の小谷みどりさんの研究でも、「自分は遺骨を全部撒いてもらいたい」という人たちが散骨を希望する理由には、費用や跡継ぎ問題が多く見られました。

また、実際に散骨した人たちに聞くと「本人が言い遺していった」というようなケースがよくあります。このようなケースでは、逝く人が遺される者のことを思いやって、「散骨にしてくれ」ということでお墓問題を解決しようという意思が見受けられます。「お墓問題の解決としての散骨」は、故人の希望抜きには心理的な抵抗が高い(本当にこれでいいのか、故人はこれをどう思っているのかという思い)ものなので、本人の希望であるという明確な支持があると実施しやすいのかと思います。

逆に、散骨が、何と言いましょうか、ロマンチックな「想い」を成就させるためのもの、という方たちもいます。思い出の地に眠りたい、というような人たちです。小谷さんの研究では、「一部散骨」の人には「思い出の地に眠る」を選択した人が多かったというデータもあります。 私が実際会ったり、お話をした人の中にはこんな理由で散骨をした人たちがいました。

  • 母はフラダンスが大好きで、年に3回はハワイに行っていた。ぜひハワイで散骨してあげたい。
  • 息子は将来国際的な仕事をすることを希望していたが、志半ばに亡くなった。体が弱く、実際に多くの国に行くことも叶わなかったので、子供の友人が海外に行くときには少しずつお骨を託して世界中に散骨してもらった。
  • 故人は生前海底ケーブルを設置する仕事をしていた。長期にわたり海外も含め海に行っており、遺された家族はさみしい思いもしたものだ。それでも、今なくなってみると故人の居場所は海にあるような気がする。

散骨と仏教

散骨について仏教界はどのように考えているのか、なかなか明確な言葉は聞けません。真正面から反対の僧侶の方もいるようですが、よく聞かれるのは「散骨には反対ではないが、全部散骨は反対」「少し手元に遺したほうがいい」というお話です。しかし、なぜ少しお骨を残すことにこだわるのか、どのような意味があるのか、はっきりしたお話は伺った事はありません。もちろん、「何もなくなってしまうとさびしい」「よりどころが必要」と言う事を遺された遺族がいうのは理解できますが、仏教という側面からそれはどう理解されているのでしょう。仏教的には、遺骨は礼拝・供養の対象ではないと思います増すが…。

仏教的な観点で、散骨、特に全てのお骨の散骨に反対することに「お寺の経営を守るための論理」があるのかどうか、これについてはまた勉強して追記していきたいと思います。

(散骨が)違法だから広まりはしないなどと構えている余裕はない。昭和23年に施行された法律に言う「国民の宗教的感情」が現代にそぐわないと判断されたとき、一定の条件下での散骨が合法化され、寺から墓地がなくなる時代が来るかもしれない。その時私たちは、供養しているのは遺骨ではなくそれを使って一生を生き抜いた故人の魂なのだとはっきり言えるだろうか。
- 中略 -
『おまえたちは修行完成者の遺骨の供養にかかずらうな。どうかおまえたちは正しい目的のために努力せよ』
釈尊がアーナンダに遺したとされるこのお言葉は何を意味しているのか。正しい目的とは何を指すのか、ゆっくり考えなければならないときが来ている。

(2014年7月10日 「国民の宗教感情」 日蓮宗新聞社 論説委員・伊藤佳通)

仏教者と理解しあうための動き

海洋散骨大手、ハウスボートクラブは、2014年11月、僧侶を対象にした「お坊さんのための海洋散骨体験クルーズ」を開催したそうです。実際の散骨の場に立ち会う事が少ない僧侶を模擬海洋散骨に参加してもらい、理解を深めてもらおうという狙いです。

散骨の需要が高まる一方で、仏教界では散骨を墓もしくは宗教的儀礼のアンチテーゼと解する向きも多く、反発が根強い。2007年2月の同社設立以降、散骨クルーズに宗教者が同船して宗教儀礼を執り行ったケースはわずか4例だという。
今回の海洋散骨体験クルーズは、海への散骨業者と仏教界の反目を憂慮した、曹洞宗僧侶の太田宏人氏が共同発起人となって企画された。「亡き人を弔い、遺骨を地球に還すという観点に立てば、散骨と埋葬に大きな違いはない。現場を知らずに批判をしている僧侶も少なくないため、互いを知って協働できる部分を探すことが急務と考えた」。
散骨を選ぶ人の中には供養を求める人もおり、宗教者の理解が欠かせない。

2015/2/1 月刊仏事2月号

色々な散骨の方法と費用

散骨のタイプ 概要 費用の目安

業者さんによる

海洋散骨

委託散骨 散骨サービスの会社にお骨を預けて、スタッフのみで行う散骨。処々の事情で参加が難しい場合などでも、散骨の希望を叶えられる。散骨した位置の証明や写真などを用意してくれる会社が多い。 5万円~
合同散骨

複数のグループが船に乗り合わせて行う散骨。 乗り合いなので、日程調整などが必要になりますが、その分費用は安くなる。他の家族が一緒で気を使うこともある半面、同じ場所で散骨するという共通点からの親近感もあり、問題にならないことが多い。

個別に問い合わせることが出来るほか、海洋散骨の情報サイト「散骨海洋葬ネット」が合同散骨全国日程表を提供している。

10万円~
個別散骨 故人のご親族や友人のみで船を貸しきって行う散骨。プライベートなセッティングなので、お別れに集中できます。出航から帰港まで全体がお別れのセレモニーとなる。お日にちなど融通が利き、ルートや演出などの希望に沿う事も可能。  20万円~
陸上散骨
  • 専用散骨場での散骨
  • 葬送の自由をすすめる会」では陸上散骨の写真や、陸上で散骨できる場所の紹介を写真付きでしているので、実際行っていると思われる。一般に開かれていない(おそらく個人所有の土地に所有者の許可を得て行っている)ので、会員になる必要がある。
  • 戸田斎場グループの「株式会社カズラ」は、島根県隠岐郡海士町の大山隠岐国立公園の一部、「カズラ島」全体を散骨場にするという事業を行っている。
  • ネット上には「山・里山での散骨」を謳った散骨サービスも見受けられるが立場(宗教施設か、運営者の私有地か)や、その継続性などが不明確のところが多く見受けられる。

5万円~
(カズラは20万円以上)

寺院型
  • 寺院の敷地内に散骨。形式としては散骨だが、形を変えた永代供養と考えられる。
  • 樹木葬で紹介した西寿寺にはしだれ桜の周辺に散骨できる散骨場を持っている
15万円~
バルーン葬 天然ゴムのバルーンで成層圏に散骨をする方法。全骨を散骨できる。 20万円~
空中散骨 ヘリコプターからの散骨。 25万円~
宇宙葬 遺骨を宇宙に散骨できる。非常にわずかな量(数グラム)なので、シンボリックな意味合いのみ。 25万円~
海外で散骨 海、山、陸地、とチョイスも広い。個人でもできる。 ハワイで
10万円~
個人で散骨 粉骨(遺骨のパウダー化)だけを依頼して、自分で散骨する方法。やり方によってはトラブルの種になる可能性もあり、下の「散骨の方法と場所、気を付けるべきこと」をよく理解し、自己責任で行う必要がある。 0円

散骨の方法と場所、気を付けるべきこと

繰り返しますが、「散骨は合法か」の結論が「違法ではない」という結論であるというところから、実際の散骨においては、逆に積極的に「ここなら安心して散骨が出来る」という場所がはっきりしないという問題が起こってきます。法務省の言う「節度をもって行われる限り」というのが何を指すのかはっきりせず、多くの部分が「節度」や「マナー」というあいまいな自主規制に任されていると言えます。

海洋散骨の業界や、散骨場での散骨の場合は、自主的にルール作りが進んでいるようですので、お任せするときは大体安心していいと思います。
それ以外の場合にはまず以下の点を基準としてください。

  • 遺骨は遺骨とわからない程度の大きさ(2㎜以下)に細かくする
  • 他人の所有地で行わない
  • 水源となる場所、養殖場、海の家などの近くは風評被害による、社会的問題、民事訴訟などの可能性がある(実際に水質に悪影響を与えるわけではありません)
  • フェリーから撒くなど、他者の経済活動を妨げるような方法をしない

散骨と自治体の規制

実際に、散骨を行うことが自治体で問題になったケース、自治体が規制的な条例が出来ているケースもあります。例えば

  • 1994年:「葬送の自由をすすめる会」が東京都水道局の了承のもと、水源の山梨県の陸地で散骨実施した。後に散骨地の自治体が観光地としての価値を下げると東京都に取り下げを求める
  • 2005年:北海道にNPO法人が散骨場を設置。反対する地元との溝が埋まらず、散骨を禁止する条例が可決される(北海道長沼町:下記一覧参照)。

といったケースがありました。
しかし、ネット上で「自治体の条例により、散骨が規制されている」と警告的に書いてあり、あたかも散骨自体が自治体の条例で規制されているような印象を与えますが、実態は以下の表のとおりです。これで分かるように、散骨自体が規制されているのは全国で2自治体だけで、あとは散骨場の設置が禁止されているだけですので、誤解がありませんよう。

自治体

散骨自体

への規制

散骨場設置

への規制

解説
北海道長沼町

2005年施行。日本国内で初となる散骨禁止条例「長沼町さわやか環境づくり条例」。

あるNPOが非常にずさんな進め方で散骨場の運営を開始し、町住民の反対を押し切って散骨を実施、その対抗措置として条例が出来た。

北海道七飯町   2006年制定の「七飯町の葬法に関する要綱」(要綱には法的拘束力がない)。散骨場の設置には自治体への事業計画の提出を義務付け。事実上禁止。
北海道岩見沢市   2008年施行。「岩見沢市における散骨の適正化に関する条例施行規則」。散骨場の設置に厳しい条件を付け、事実上禁止。
長野県諏訪市   2000年施行。「諏訪市墓地等の経営の許可等に関する条例」。墓地、納骨堂、散骨場、火葬場の設置には近隣住民全ての同意が必要という内容。
埼玉県秩父市 2008年施行。「秩父市環境保全条例」。
埼玉県本庄市   2010年施行。「本庄市散骨場の設置等の適正化に関する条例」。事実上、事業としての散骨を禁止。
静岡県御殿場市   2009年施行。「御殿場市散骨場の経営の許可等に関する条例」。業者が御殿場市内に散骨場を設置しようとした際に対抗策として作られたもの。

「自分で散骨」をしようと考えている方へ

スイスでの散骨

スイスでの散骨
© Valposchiavo Tourismus
Picture: Roberto Moiola

散骨は、唯一全くお墓という形を取らずに行えるお骨の行き場です。せっかく、このような方法を(ある意味黙認的な形ですが)行うことが出来ているわけですから、今後もずっと続けることが出来るようにしていかなければなりません
他人の経済活動を邪魔して風評被害を与えたり、人の気持ちを害するような事をして悪い注目を浴びる様な事があれば、このような素晴らしい方法が実施できなくなる可能性もあります。散骨は自己責任で行うものですが、それでも他者への責任も感じて行ってください。自分で散骨する方にとって重要な事を書いておきます。

  • 黙ってやる:いつどこでやる、やったというようなことを他人に宣伝しない。ブログやSNSにアップしない。
  • ひっそりやる:喪服で海岸をうろつくようなことはしない。

この2点を守って、要らぬ風評被害を与えたり、悪い注目を集めないようにしましょう。

また、自分で散骨をすることは検討されている方は、鈴木方斬(ほうざん)さんという方が、かなり前から「完全自然葬マニュアル (お墓がなくても大丈夫)」というサイトを開設されていらっしゃいますので参考になるかもしれません。マニュアルの核心的な部分を一部ご紹介します。

まず何よりも最初に言っておきたい事は、あなたが誰かの遺骨の自然葬 を行うに当たっては、いかなる種類の市民団体や葬儀社にも自然葬その ものに関しての相談や依頼をする必要は基本的にないという事である。 (むろん遺体の搬送・一時的安置・火葬は葬儀社に依頼した方が良い)

火葬後の骨を細かくして『自然葬』にするという葬儀方法は、 故人本人がそれを望んでいた意志と、その遺族の同意、 そして散骨する土地所有者の許可さえあれば、 誰でも『個人の手で行えるもの』である。 ただし『絶対に注意をすべき点』があるので、以下に簡潔に説明する。

ある人が生前から自然葬を望んでいて遺言に書いてあったとしても財産 に関する遺言とは違って、「葬送の方法や遺骨管理の希望」の記述には 明確な法的拘束力がない。平たく言うと、あなたが自分の遺言に、 「私が死んだら自然葬を希望する」と書いてあっても、 その通りに執行しなければならない法的義務は遺族にはないのである。 だから、一番理想的な方法は、常に日ごろから、関係する親族や喪主と なる予定の人との間で、自然葬への完全な同意を得ておくことである。

完全自然葬マニュアル (お墓がなくても大丈夫)

自分の土地、自宅の庭で散骨できるか

あえてこの項目を書いておきます。多くの資料を検討した結果、「ダメじゃない」「禁止する根拠がない」ということははっきりしています。最も公的な資料としては、東京都福祉保健局のサイト上に散骨に関する留意事項が記載されており、これを読むと、自宅を含む陸上での散骨が可能であることはわかります。

ただこれと、先に述べたような風評被害、近隣住民とのトラブルの可能性については別物です。また、いいからと言って、俗に言う「分譲住宅の猫の額ほどの庭」への散骨は「葬送のための祭祀(さいし) で節度をもって行われる」というよりは「その辺に撒いとく」に近いと感じられます。それでも故人が丹精込めた素晴らしいお庭をお持ちの方、山林をお持ちの方もいらっしゃるでしょうし、そのあたりは、(また言いますが)皆さんの良識が問われているということです。

国有地での散骨

長年反原発運動に携わり、2000年に亡くなった科学評論家の高木仁三郎氏の場合は、その翌年、遺言に基づき故郷・赤城山の国有林に自然葬され、それが新聞でも大きく報道された。しかし、何も問題にならなかった。林野庁もそれを問題視はし、なかった。これは私たちにも参考になる。

0葬~あっさり死ぬ~ 島田裕巳:集英社 2014年

具体的なルール

それ以外のルールについては、誰に聞くかによって様々ですが、ここではあえてその可能性と注意点についてまとめてみたいと思います。 この可否の判定は、散骨の業者さん、散骨自由派の方の意見などを総合的に判断した私の意見です。公的な判定があるわけではないことにご注意ください。このガイドは全体としては、自由度の高めな判定基準になっていると思います。

場所 可否 理由・条件・注意点など
外洋(公海) 所有者もなく、問題ない
湾内や近海 ほとんどの海洋散骨業者はこのエリアで行っている。漁業者、養殖場の近くは風評被害による問題の可能性がある。
海岸や浜辺や防波堤 漁業者、養殖場、海水浴場や海の家の近くは風評被害による問題の可能性がある。
河川、湖 水源になっている、養殖場があるなど、風評被害による問題の可能性がある。
業者運営の散骨場 散骨のために設置されたエリアで、問題ない。墓地として登録されていなければ、土をかけると墓地埋葬法に抵触。
市街地・公園 X 風評被害の可能性大。
国有地(山など) 黙認状態。土をかけると墓地埋葬法に抵触。
所有者のある山・野原 X 所有者のある土地への散骨はだめ。土をかけると墓地埋葬法に抵触。
自分の土地 土をかけると墓地埋葬法に抵触。
海外での散骨 海、山、とチョイスも多い。現地の法に従って行えば問題ない。
フェリ一や遊覧船・交通船から X 一般のお客様が乗船している。乗船の目的にも反する。
空からの散骨 撒く場所によっては風評被害による問題の可能性がある。

自分は散骨にしてもらいたいと思っている人へ

自分は散骨にしてもらいたいと思っている方には、以下のような事も考えて頂きたいと思います。

  • とにかく家族、親族とよく相談してください。一部を散骨という場合では、近しい家族だけでそっと行うことが出来ますが、「全骨を散骨してお墓は作らない」事がご希望の場合、親族も含めて根回しを行うことが大切です。後になって「墓は作らなければ」というような親族があらわれると、遺された遺族の心労にもなりますし、希望がかなえられなくなります。
  • 相談の中で、実は家族(伴侶や子供)自体が実は反対だというようなこともわかってくるかもしれません。相談してみたら、「お父さんに向かって手を合わせる場所が欲しい」と言われ、考えを変えた、という人もいます。
  • 散骨の目的は?お墓を作らない、宗教色を排除したいという事であれば、他にも選択肢はあるのではないでしょうか。それよりも散骨を希望される理由がありますか?

実際に全てのお骨を散骨をする場合のポイント

散骨、というのは結構イメージ先行で、認知度が高まっていると思います。実際に「お墓を作らず散骨に」を実行するためにちょっと気が付かないポイントをご紹介しておきます。

  • 葬儀。散骨に反対、とくに全ての遺骨(全骨)の散骨には反対、という僧侶が多い事から、散骨希望の場合、葬儀の時に菩提寺の住職を呼ぶかどうかを検討する必要がある。読経を希望する場合、葬儀社に「葬儀の時のみの僧侶」の派遣を依頼することが出来る。
  • 海洋散骨は海に出る都合で、一年中いつでも出来るわけではない。冬場にやる人は少ない。
  • 自分で散骨する場合は、粉骨だけを業者に依頼する事をお勧めします。詳しくは「遺骨の粉末化は自分でできる?
  • 全骨を散骨にする場合、葬儀の時の読経以外、特に宗教的な供養を行わない人が多い。宗教的な供養を行わない、ということは戒名もなく、位牌や仏壇などもないということになる。
  • したがって散骨が終わると、何も残らない。しかし家族はやはり手を合わせる場所を必要としている事も多く、良く見られるのが箪笥の上に、写真、時計などの形見の品を置き、仏具セット(線香立て、おりん)を置く人が多い。(全て希望通り海洋散骨したら、遺された家族がどこに手を合わせたらいいのかわからない、と毎年命日に船をチャーターしてその場所に出かける事になった、というような話もあります。 )
  • お骨のごく一部を手元供養にするのも一般的。

関連情報

【トピックス:お役にたつ関連情報 】

遺骨の粉末化は自分でできる?

ご遺骨をご自身で粉末化することは可能です。
さらしに少しずつくるんで木槌や麺棒で細かくしたり、必要であればすり鉢などを使って、お骨であることが分からない程度の大きさ(2㎜以下、さらさらと感じるのは1mm以下)にします。
しかし現実問題としては、遺骨を粉末化する作業は想像以上に大変です。精神的に辛くなることも考えられますし、全骨(全てのお骨)を粉末化するのはかなりの時間と労力を必要とすることを覚悟する必要がありあります。

【トピックス:お役にたつ関連情報 】

遺骨の粉末化だけを依頼する

粉末化した遺骨

粉末化した遺骨をを
ガラス容器に入れてもらうことも出来る
エターナルジャパン提供

今すぐ散骨はしないという方や、ご自身で散骨をしたいという方は遺骨の粉末化だけをしてもらうことも可能です。

現在では、散骨業者だけでなく、様々な業種(手元供養など)の方々が郵送による粉骨サービスを行っています。費用は全骨で15,000円から30,000円程度です(少ない量ではさらに低額の事もあります)。業者さんにお願いすると小麦粉のような細かいパウダーになり、全くお骨という印象はなくなります。

お骨の郵送に抵抗がある方はお近くの業者さんを探して持ち込む事も出来ますし、立ち合いで粉骨をしてくれる場所も増えてきました。

たとえば、東京都の戸田斎場では火葬場としては珍しく1時間ほど待っている間に立会粉骨をしてくれます。また、奈良の十輪院では、目の前で、すべて僧侶の手で、宗教的な雰囲気の中で粉骨にして頂けます。

遺骨を自分で粉骨するための機械をレンタルしてくれる会社もありますが、費用的には粉骨を業者さんに依頼するのと変わりません。

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手元供養

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